「広島焼き(広島風お好み焼き)」とは、日本の広島県を中心に発展したお好み焼きの一種であり、大阪風(関西風)とは作り方や構成要素が大きく異なります。
広島焼きには明確な特徴とルールがあり、単なる地域のバリエーション以上に、一つの完成された食文化として認識されています。
以下に、広島焼きの定義や特徴を詳しく解説します。
目次
広島焼きの定義
広島焼きとは、主に以下の条件を満たすものを指します。
材料を層状に重ねて焼く(重ね焼き)
- 広島焼きの最大の特徴は、「材料を混ぜない」こと。
- 関西風は生地、具材をすべて混ぜてから焼きますが、広島焼きは順番に重ねて焼く方式です。
- 一般的な重ね方:
- 生地(クレープ状)
- キャベツ(たっぷり)
- もやし
- 豚肉
- (天かすや魚粉など)
- 焼きそば or うどん(麺類)
- 卵(最後に焼いた卵を重ねる)
クレープ状の生地を使用
- 最初に鉄板に流す生地はごく薄く、クレープのように焼かれます。
- 小麦粉と水を溶いただけのシンプルなものが基本です。
キャベツの使用量が多い
- 一人前で200g以上使用するのが一般的で、焼くとしんなりして甘みが出ます。
- 蒸し焼きにすることで、キャベツの旨味が凝縮されます。
麺を使う(焼きそば or うどん)
- 広島焼きには必ず麺が入るのがスタンダードです(この点が特に関西風と異なる)。
- 「そば肉玉(焼きそば+豚肉+卵)」が最も定番の注文。
卵で仕上げる
- 最後に焼いた卵の上に本体を乗せる or 本体に卵を被せるスタイルが多く、卵が表面に出てくるのが特徴。
オタフクソース等の甘めのソースで仕上げ
- 広島生まれの「オタフクソース」に代表される、甘口の濃厚ソースで味付けされます。
関西風との違いまとめ
比較項目 | 広島焼き | 関西風お好み焼き |
---|---|---|
生地 | クレープ状、生地は下に敷くだけ | 小麦粉・卵・山芋などを混ぜて焼く |
具材の混ぜ方 | 混ぜない(層状に重ねて焼く) | 全部混ぜて焼く |
キャベツの量 | 多い(山のように盛る) | 比較的少ない |
麺の使用 | 使用する(そば or うどん) | 通常は入れない(モダン焼きで入れることも) |
卵の使用 | 最後に焼いた卵を上にのせる | 生地に混ぜ込まれることが多い |
ソースの味 | 甘口が主流(オタフクソースなど) | やや辛口も多い(イカリソース等) |
歴史的背景
- 1945年以降(戦後)、広島市では食糧事情の厳しい中、「一銭洋食」にヒントを得て屋台でクレープ状の粉ものにキャベツや肉を重ねて焼くスタイルが定着していきました。
- 広島の焼き文化は「工夫と独自性」が評価され、1970年代から「広島風お好み焼き」として全国的に認知され始めます。
- 現在では広島市を中心に、お好み村や駅ビルの麗ちゃんなどの老舗店舗が観光名所になっています。
バリエーション
- そばダブル:麺を2玉に増量
- 肉玉いか天:いか天ぷらを加える(広島の人気トッピング)
- チーズ入り、ねぎかけなど、各店で個性豊かなアレンジが可能です
広島焼きの魅力
- 栄養バランスがよい:野菜、肉、炭水化物、卵がすべて一体になっている
- ボリューム満点でコスパ良し
- 層の焼き加減に職人技が問われる:広島焼きは焼き上げに高いスキルが必要とされます
まとめ
広島焼きは単なる地域料理ではなく、「混ぜない」「重ねる」「麺を入れる」「卵でまとめる」など、明確な技術と流儀を持った完成された一皿です。
そのユニークな構造と豊富な具材、濃厚なソースのハーモニーが、多くの人に愛される理由です。
プロの鉄板職人が目の前で丁寧に焼き上げてくれるスタイルも多く、味覚だけでなく、視覚・体験の魅力も兼ね備えた食文化といえるでしょう。
以上、広島焼きの定義についてでした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。